朝倉令子税理士事務所
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税金コラム
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【平成17年11月25日「年末調整のしくみ」】
■年末調整のしくみ
  今週は、年末調整のしくみについてみてみましょう。
1.源泉徴収
 サラリーマンの方は、月々の給料から源泉所得税を天引きされていると思います。これは、いわば一年間の所得に対してかかるであろう所得税を概算で計算して、前払いしているものです。では、その金額は、どう計算されるのでしょうか。
月々の源泉所得税額は、「源泉徴収税額表」という表があって、その表に基づいて、計算されます。この表には、月額表と日額表があり、月給の人は月額表を使用します。この月額表には、甲欄と乙欄があり、それぞれ税額が違います。その月の社会保険料控除後の金額に対して、扶養家族の人数によって源泉徴収税額が決められているのが甲欄で、扶養家族の人数に関係なく、給与の金額によって源泉徴収税額が決められているのが乙欄です。
 年末になると、会社に年末調整関係書類を提出します。「給与所得者の扶養控除等申告書」と「給与所得者の保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」です。「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」は、その年の生命保険料控除や損害保険料控除を受けるための書類です。「扶養控除等申告書」は、来年の扶養家族を申告する書類です。私には、これだけの扶養家族がいるので、来年の給与から差し引く源泉所得税は、この人数で計算してください、ということを申告するわけです。この「扶養控除等申告書」を会社に提出している人は、甲欄で源泉所得税額を計算し、提出していない人は、乙欄で計算します。乙欄の源泉徴収税額は、甲欄の税額より高い金額となっています。乙欄の適用を受ける人はどんな人かといいますと、2ヶ所以上の職場から給与の支払を受けている人が、主たる給与でない職場から受ける給与など、「扶養控除等申告書」を職場に提出していない場合です。つまり、「扶養控除等申告書」を提出した人は、甲欄で計算した源泉徴収税額が天引きされますし、提出しない人は、乙欄の高い金額で源泉徴収されます。
 賞与に対する源泉徴収税額は、給与とは別の源泉徴収税額表があります。賞与の支給を受ける月の前月の給与の金額によって、源泉徴収税額が変わってきます。やはり、甲欄と乙欄があります。会社に「扶養控除等申告書」を提出している人は甲欄、提出していない人は乙欄で計算します。前月の社会保険料控除後の給与の金額によって、賞与に掛ける率が0%から35%の間で決められています。
ちなみに、平成11年以降実施されている所得税の20%の定率減税は、今年も実施されますが、源泉徴収税額表は、この定率減税を織り込んだところで作成されています。ですから、定率減税が半分に縮小される来年からは源泉徴収税額表が新しくなります。

2.年末調整
 月々源泉徴収された所得税は、あくまでも概算です。これを正しい税額に計算しなおすのが年末調整です。配偶者特別控除や生命保険料控除、損害保険料控除などは、月々の源泉徴収税額に反映されていません。また、年の途中で子供が生れたり、結婚したり、離婚したり、と、扶養家族の人数に変動があった場合には、その変動があった月より前にもらった給与からは、変動前の状況で源泉徴収されていますから、年末調整で正しい税額に計算しなおす必要があります。徴収しすぎている場合は還付、逆に徴収した金額が不足している場合には、年末調整でその足りない税額を徴収します。年の中途で転職した人は、前の職場から今年の退職までの源泉徴収表を取り寄せて(今年の源泉徴収表です。間違えて平成16年分のものをもらってもダメです。)、今の職場に提出すれば、前の職場の所得も合算して年末調整をしてくれますので、今年転職した人は、早めに前の職場から源泉徴収表をもらっておきましょう。

  昨年12月から1年間、身近な税金の問題を12のテーマに沿ってお伝えしてきましたが、今回で最終回となりました。読んでいただいた皆さんが「読んでトクする」ような内容をめざしてきたつもりですが、お役に立てたでしょうか。
 1年間、ありがとうございました。
 
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