朝倉令子税理士事務所
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税金コラム
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【平成17年9月30日「遺言の方式」】

■遺言の方式
 
遺言書と聞くと、お金持ちや資産家など莫大な財産を持っている人が書くもので、一般庶民には無縁のものだという気がしてしまいます。でも、本当にそうでしょうか。
兄弟で仲がよく、親の死後もトラブルもなく遺産の分割がスムーズに進めばこんなにいいことはありません。しかし、いつでもスムーズにいくとは限りません。財産の多い少ないにかかわらず、遺言を残しておいたほうがいいときもあります。
  たとえば、親の持っている土地の上に自分で自宅を建てて住んでいるような場合、将来親に万が一のことがあったときには、確実にその土地だけは相続したい、他の兄弟との共有になってしまっては困る、そんなケースもあるかと思います。兄弟で遺産の分割について了解ができていればそのような悩みはないでしょうけれど、それでもいざとなってみないとわからないものです。このような場合には、親にその土地をゆずる旨の遺言を書いておいてもらうと安心です。
 また、親が事業をしているような場合には、その事業を誰に継がせるのか、遺言を残しておけば確実です。事業に必要な資産を、その子に残してあげられます。親が会社を経営しているような場合にも、親の持っている会社の株をどう分けるかによって、会社の方向性までもが違ってきます。仲のよくない兄弟で会社の株を分けてしまって、何かにつけて意見が分かれ、経営がうまくいかなくなっては、会社の存続までもが危うくなる危険性があります。
 相続は、税金の問題だけではなく、どの財産を誰がもらうのかといった問題が必ず発生します。それまでは、仲のいい兄弟だったのが、突然、争いになったり、もらえる財産が少しでもあるとわかると、人間が豹変してしまう人も多いものです。周りの人がけしかける、という場合も考えられます。いざ、自分が死んだときに親子兄弟で争いにならないように、配偶者や子供のために遺言を残しておくことも必要かもしれません。
 では、遺言書というのは、実際にはどのようにして作成すればよいのでしょうか。遺言書には、次の3つの方式があります。

1.自筆遺言証書・・・遺言者が自分で内容を書きます。ワープロなどで作成したものは認められません。また、本人の署名押印が必要です。費用も手間もかからないので、手軽に作れる、というメリットがありますが、死後に発見されない恐れがあるのが欠点です。また、死後には家庭裁判所の検認の手続きを得ないとダメです。

2.公正証書遺言・・・公証人と2人以上の証人の立会いのもと、遺言者が遺言内容を口述して、それを公証人が書きとめ、公正証書として作成します。作成した内容に間違いがなければ、署名押印して、公証人も署名押印します。公証人が作成するため、証拠力があり、原本が公証人役場に保管さているため、紛失してしまうこともありません。ただし、2人の証人が立ち会うため、秘密が漏れる心配があります。また、若干の費用もかかります。

3.秘密証書遺言・・・遺言者が自分で遺言を書いたあとに、秘密に保管しておく方法です。ワープロでも、代筆でもかまいません。ただし、遺言書に署名押印の上、封印して公証人と2人以上の証人に、その存在を確認してもらわなくてはなりません。保管は、本人がしなくてはなりません。内容が秘密にできるという点が長所ですが、公証人が内容を確認するわけではないため、間違いや誤解が生じる危険もあります。また、遺言書の開封には、証人の立会い、裁判所の検認が必要なので、手続きが繁雑です。

 以上が遺言書の方式ですが、この中で、一番確実な遺言は、公正証書によるものです。公証人が作成するため、不備や誤解を生じる恐れがありません。また、本人が寝たきりで公証人役場に出向けない場合などは、自宅や病院へ公証人と証人に出向いてもらって作成することもできます。親の亡き後に、親族で醜い争いをしないためにも、遺言について考えてみてはいかがでしょうか。
 
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