朝倉令子税理士事務所
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税金コラム
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【平成17年9月16日「贈与とみなされないためには」】

■親からの資金援助を贈与とされない方法
 
他人にお金を貸すときには、「金銭消費貸借契約書」を作成して、返済方法や金利の取り決めをキチンとするのに、自分の子供となると、お金を用立ててもあえて書類も作らないし、返済しないからといって取り立てもしないのが、親心なのかもしれません。でも、税務署は親子だからといって見のがしてはくれません。いくら親からの借金だからといっても、実態が贈与であれば、贈与税が課税されます。
 不動産を購入したり、家屋を新築したりすると、税務署から「お尋ねの文書」がくる場合があります。その返答で資金の出どころがはっきりしていないような場合には、調査の対象となります。たとえば、25歳の人が取得した住宅が3,000万円で、全額自己資金と返答した場合、この人の年収が200万円だったとすると、3,000万円貯蓄するには、飲まず食わずでも15年はかかります。就職してから3年しかたっていないのに、3,000万円の住宅が自己資金で買えるわけがありません。実は、親からもらった資金なのかもしれません。このような場合、3,000万円を親から贈与を受けたとして、贈与税が課税される可能性があります。また、「お尋ねの文書」に、親からの借金と回答した場合でも、返済する意思がなければ、贈与とみなされます。
 ですから、親子間でも、借用証書を作成し、もらったものではなく、借りたものであることを明らかにしておかなくてはなりません。借用証書には、返済期限や金利の取り決めをして、実際に、親の口座に子供が振り込んで返済することも大切です。
 さらに、資金の出どころがはっきりしても、返済能力がないとやはり贈与とみなされます。たとえば、先ほどの年収200万円の子供に8,000万円を貸し付けたとします。生活費を除いて毎年100万円を返済にまわせるとしても、完済までには80年かかります。これでは、いくら借用証書を作っても意味のないものといえるでしょう。

  財産を贈与して、さらにその贈与税まで親が払ってあげた場合には、その贈与税相当額が贈与されたものとしてまた贈与税の対象となります。たとえば、1,000万円を子供に贈与した場合、贈与税は、231万円となります。この贈与税を親が負担したとしますとこれにも12万1,000円の贈与税がかかります。

■借地の底地を買い取る場合の注意点

 親が他人から土地を借りて住宅を建てている場合、その土地の底地を子供が買い取るといったケースもあるかと思います。このような場合には、気をつけなくてはいけないことがあります。
 それまで借地の上に親が住宅を建てて住んでいましたが、地主から底地を買い取ってほしい、という申し出があり、子供が底地を買い取ることにした場合、親から子供に借地権の贈与があったとみなされます。つまり、子供が底地を買い取ることによって、親の借地権も無償で親から贈与されたとみなされるわけです。そこで、贈与税を課税されないためには、底地は子供が買い取ったけれど、借地権者である親の権利に変更はありません、という届出を所轄税務署にするわけです。どういう届出書かといいますと、「借地権者に変更がない旨の届出書」という届出書です。この届出書を提出することにより、底地は子供、借地権は親の所有という形態になりますが、将来、子供が借地権を相続したほうが、底地を買い取った段階で贈与を受けるより有利な場合がほとんどです。
 
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