朝倉令子税理士事務所
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税金コラム
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【平成17年9月9日「年老いた両親と同居することになったら」】

■年老いた両親と同居することになったら
 両親が年老いてきたので、それまで住んでいた家を親子共同で2世帯住宅に建て替えて、同居することにした、というようなケースもあると思います。二世帯住宅ともなると、価額が高額になりますから、どうしても資金調達の際に、親夫婦と子供夫婦の共同で資金を出し合うことになるでしょう。このような場合、気をつけなくてはいけない問題がいくつかあります。登記する際の名義はどうするか、建築資金の贈与の問題、ローンの組み方をどうするか(住宅ローン控除の問題)、といったことをきちんとしておかなくてはいけません。

(1) 登記する際の注意点
 新築する家屋の登記をする際には、実際に資金負担をした割合で登記することが大切です。そうでないと、贈与税の問題が発生する場合があります。たとえば、5,000万円の住宅を建てる場合、父親が3,000万円、息子が1,000万円、その配偶者が1,000万円を出し合ったとしますと、それぞれ持分を、5分の3、5分の1、5分の1として登記をするわけです。息子とその配偶者がそれぞれの親から、住宅取得資金の贈与の適用を受けて550万円づつもらったのであれば、その贈与を受けた金額をプラスして持分を計算します。こうすれば、贈与税が課税されることはありません。

(2) ローンの組み方
 住宅を取得する際には、自己資金100%という人よりも、ローンを組むケースのほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。最近は、親子あるいは夫婦で連帯債務者となってローンを返済していくケースが多いのですが、この場合、そのローンは、親子あるいは夫婦で連帯して返済していくものですから、ローンの負担割合は、親子間や夫婦間で自由に決めればいいことになります。親が100%、息子が0%としてもいいわけです。このような場合、息子が自己資金を出していなければ、2世帯住宅の登記名義は父親1人となります。でも、実際には、今後、親子で共同してローンを返済していくことになるでしょうから、その分担割合で持分登記しないと贈与税の問題が発生してきます。もし、息子の名義で登記し、実際の返済が全額父親だとすると、毎年返済している金額を父から息子に贈与したとみなされるわけです。ですから、連帯債務でローンを組んだ場合には、それぞれの所得の割合で返済していくものとして持分登記するのがいいでしょう。

(3) 住宅ローン控除の注意点
それまで住んでいた親名義の住宅を売却し、新しく親子共同で2世帯住宅を取得する場合、親が売却する住宅の売却益については、居住用不動産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除があることは、3月の「マイホームと税金」でお伝えしました。そして、住宅ローンを組んで住宅を取得する場合には、住宅ローン控除という制度があることもご存知だと思います。
  ところが、この2つの特例は、同時に受けることができません。つまり、新しく取得した住宅に住み始めた年およびその前後2年以内に、3,000万円の特別控除の適用を受けて住宅を売却した場合には、住宅ローン控除の適用がないのです。今後15年間、住宅ローン控除の適用が受けられると思ったのに、残念です。
 でもここで、よく考えてみましょう。2つの特例の適用を同時に受けられないのは、父親1人です。息子は3,000万円の特別控除の適用は受けていません。これから取得する住宅は共同で取得しますが、以前の住宅は父親名義だったのです。売却するのは父親1人です。このような場合には、父親が3,000万円の特例の適用を受けて持ち家を売却し、2世帯住宅の土地を取得します。息子は、住宅ローンを組んで家屋を取得し、住宅ローン控除の適用を受ける、といったことが可能です。もちろん、息子は、住宅所得資金の贈与を受けることもできます。

 
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