朝倉令子税理士事務所
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税金コラム
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【平成17年9月2日「年金収入だけの両親は扶養親族になる?」】

9月のテーマは、「親子と税金」です。年老いた両親と同居することになった、親から資金援助を受けた、遺産分けをスムーズにしたいなど、親子間の税金についてみてみましょう。

■年金収入だけの両親は扶養親族になる?
 親子といえどもお互いの収入についてはあまり口をはさまないものかもしれません。一緒に住んでいても、財政状態まではあまり干渉しない、というケースが意外と多いものです。でも、家族全体からみた税金を安く済ませたいのだったら、お互いの収入を明らかにした方が得策です。
 両親が年金収入だけの場合、ひょっとすると、息子の扶養親族に該当するかもしれません。では、どのような要件を満たせば息子の扶養親族となれるのでしょうか。
 国民年金、厚生年金、共済年金、厚生年金基金などの公的年金は、雑所得という所得になります。雑所得にはこの他にサラリーマンが講演をして得た報酬や、著述業を自分の商売としていない人が受け取った原稿料、お金を人に貸して受け取った利息などがあります。これらの所得は、収入金額から必要経費を差し引いて計算しますが、公的年金は、収入金額から公的年金等控除額を差し引いたものが雑所得の金額となります。
 公的年金等控除額は、次の表のようになっています。
年 齢 公的年金等の収入金額 公的年金等の控除額
65歳以上 330万円以下 120万円
330万円超410万円以下 収入金額×25%+37万円5千円
410万円超770万円以下 収入金額×15%+78万円5千円
770万円超 収入金額×5%+155万円5千円
65歳未満 130万円以下 70万円
130万円超410万円以下 収入金額×25%+37万5千円
410万円超770万円以下 収入金額×15%+78万5千円
770万円超 収入金額×5%+155万5千円

 たとえば、年齢が71歳で所得は年金収入が150万円のみの母親がいる場合、公的年金等控除額が120万円ありますから、雑所得は30万円となり、合計所得金額が38万円以下ですから、扶養親族に該当します。父親の控除対象配偶者となるのであれば、老人配偶者控除の48万円が父親の所得から差し引けます。父親が65歳以上で、年金収入が206万円以下であれば、所得税はかかりません。なぜかというと、年金収入の206万円から公的年金等控除額120万円を引いた金額が86万円、そこから配偶者控除の48万円と基礎控除の38万円を差し引くとゼロになるからです。(ただし、市町村によって異なりますが、住民税の所得割が約6,900円かかります。)もし、母親を控除対象配偶者にしなかった場合には、基礎控除のほかに所得控除がないとすると、平成17年分の所得税は、38,400円となります。(住民税の所得割は市町村によっても違いますが、24,500円位です。)父親にもそれほど所得がなく、合計所得金額が38万円以下であれば、息子の扶養親族とすることもできます。息子が両親と同居しているのであれば、老人扶養親族(同居老親等)として、58万円の控除が受けられます。でも、果たして、母親や父親が扶養親族になるのかどうかは、本人に所得金額を聞いてみないとわかりません。両親は、もう絶対に扶養親族にはならない、というくらい収入があることが確実ならば、あえて聞くこともありませんが、そうでなければ一度確かめてみてはいかがでしょうか。
 
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