朝倉令子税理士事務所
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税金コラム
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【平成17年8月19日「自営業者の妻の場合」】


【自営業者の妻の場合】


  自分で商売をしている人の妻の場合には、サラリーマンとはまた違った苦労があるでしょう。夫の仕事を手伝っている場合が圧倒的に多いでしょうから、朝から晩まで顔をつき合わせていると、細かいところでも気になるものです。商売が順調にいっているときはそれも我慢できるというものですが、この不景気で売上が低迷していたりしたら、いったい儲かっているのかしら、今月の支払はちゃんとできるのかしら、などと心配事も絶えません。
 夫の片腕としてバリバリ仕事をこなしている自営業者の妻なのですから、やっぱり働いただけの給料はもらいたいものです。でも、自営業者が生計を一にする家族に対して支払った給料や家賃などは、必要経費にできません。たとえば、妻が所有する建物を夫が借りて事業をしている場合に、夫が妻に支払った家賃は、夫の必要経費にはなりません。そのかわり、妻の所得にもならないわけです。ただし、妻が支払ったその建物の固定資産税や、建物の減価償却費は、夫の所得の必要経費とすることができます。
  夫が白色申告の場合には、その事業にもっぱら従事する生計を一にする親族がいる場合には、事業専従者控除として
 ①配偶者の場合は86万円、配偶者以外の事業専従者は50万円
と、
 ②(事業所得+不動産所得+山林所得)÷(事業専従者数+1)のうち少ないほうの金額
の控除があります。
 いっぽう、夫が青色申告の場合には、青色事業専従者給与に関する届出書を提出することによって、妻に支払った給料を夫の必要経費とすることができます。ただし、届出書に記載した金額の範囲内で、仕事の内容に見合った適正な給料を、決められた支給時期、支給方法で支給する、ということが大切です。実際には働いていないのに、高額な給料を支払っても、認められません。他に従業員がいるような場合には、その従業員の仕事の内容や時間等と比較して妻の給与の金額も決めるべきでしょう。
  さらに、気をつけることは、白色申告の事業専従者は、1年のうち半分以上をもっぱらその事業に従事していないと控除が受けられませんが、青色申告の青色事業専従者給与は、その事業に従事することができると認められる期間の半分を超える期間、もっぱら従事していれば、青色事業専従者となることができる、という点です。
 これはどういうことかといいますと、たとえば、妻が病気になって6月のはじめに入院してしまったとしましょう。療養が長引きそうなので、夫はやむを得ず妻の変わりに仕事をしてくれる人を雇って、給料を支払っています。そんな状態で、年を越しました。この場合、妻は、1月から5月までは夫の仕事を手伝っていて、給料ももらっていましたが、6月からは仕事はしていません。そうすると、白色申告の場合には、1年のうち半分以上をもっぱらその事業に従事している、という要件に当てはまらなくなり、事業専従者控除の86万円を夫の所得から差し引くことができません。しかし、青色申告の場合には、その事業に従事することができると認められる期間の半分を超える期間、この場合には、1月から5月の半分の期間、もっぱら従事していれば、青色事業専従者となることができ、妻に支払った給料も必要経費にすることができるわけです。
 さらに、注意することは、事業専従者や青色事業専従者は、配偶者控除や配偶者特別控除の対象とはならないということです。たとえば、妻の年間の給料が100万円だとすると、38万円の配偶者控除が自営業者である夫の所得から差し引けるような気がしますが、これはできません。
 
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