朝倉令子税理士事務所
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税金コラム
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【平成17年6月10日「離婚にともなう慰謝料と財産分与」】
■離婚にともなう慰謝料と財産分与
  離婚にともなって慰謝料をもらったり、財産分与を受けたりした場合には、どんな税金が課税されるのでしょうか。通常、ただでお金や物をもらった場合、もらった方に贈与税が課税されますが、離婚に際して慰謝料をもらったり、財産分与を受けた場合には、贈与税はかかりません。また、離婚後に子供の養育費をもらっても、贈与税は課税されません。ただし、慰謝料や財産分与としては不相当に高額な場合には、ケースによっては贈与税が課税される場合があります。
  では、財産分与をする方、慰謝料を支払う方はどうなのでしょうか。現金で支払えば、問題ありませんが、2人で築いた財産の中には現金のように簡単には分けられないものもあります。たとえば、自宅などの不動産です。夫名義の自宅を財産分与として妻に譲るとしますと、夫に譲渡所得が課税されます。自宅を妻に譲渡したものとみなされるのです。居住用財産の譲渡による所得には、3,000万円の特別控除という特例がありますが、この特例は、配偶者や直系血族に対する譲渡の場合には、適用がありません。(3月25日の「マイホームを売ったときにかかる税金」を参照してください。)ですから、これから離婚するとはいえ、現在は戸籍の上では配偶者となっている妻に、離婚の際の財産分与として自宅を譲る場合には、夫に譲渡所得が課税され、居住用財産の3,000万円の特別控除の適用はありません。この場合、実際の金銭の授受がないため譲渡収入金額は時価となります。時価の算定にあたっては、不動産鑑定士に鑑定評価してもらうという方法が考えられますが、鑑定費用がかかります。実際には、公示価格や路線価を参考にして算出することになるでしょう。
  では、夫が居住用財産の3,000万円の特別控除の特例の適用を受けて、譲渡所得を申告できるようにするためにはどうすればよいのでしょうか。それには、自宅を第三者に売却して、3,000万円の特別控除の適用を受け、妻には現金で財産分与なり慰謝料の支払いなりをすればよいのです。他人に自宅を譲渡すれば特別控除が受けられます。
  さらには、離婚したあとに、妻に自宅を譲渡する、という方法も考えられます。離婚してしまえば妻ではなくなるわけですから、特別控除の適用が受けられます。夫婦の共有名義の場合には有効な手段です。

  財産分与や慰謝料として夫名義の不動産を妻の名義に変える場合には、その名義変更が、財産分与または慰謝料の支払であることを立証できる証拠を残しておくことが大切です。ですから、離婚の際には、家庭裁判所に調停をしてもらうとか、公証人の確定日付を押してもらった文書を作っておくなどすれば、財産分与として自宅を譲られた妻に課税されることはありません。
  また、妻が将来、その自宅を売却する際には、財産分与を受けたときの価額が、取得価額となります。つまり、財産分与を受けたときに夫が譲渡所得の申告をしたその収入金額が、妻のその自宅の取得価額となるわけです。
  ですから、妻のその自宅の譲渡による所得は、

譲渡による収入金額
 

取得費(つまり、夫の譲渡収入金額)

 

譲渡費用

 

居住用財産の特別控除3,000万円

 

譲渡所得金額

       


となります。
 そんなことも考慮に入れて、離婚の取り決めをした文書を作っておくことが大事です。
   
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