朝倉令子税理士事務所
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税金コラム
知って得する税金コラム

【平成17年5月27日「住宅取得資金の贈与」】
■住宅取得資金の贈与
 マイホームを取得する際に、親から資金援助をしてもらうケースは多いと思います。このような場合には、一定の要件を満たすと、贈与を受けた金額のうち、1,500万円までの部分については、贈与税が軽減されます。住宅取得資金の贈与の特例という制度で、平成17年12月31日までの贈与について適用があり、平成17年12月31日で廃止されます。


  どのように軽減されるかといいますと、贈与を受けた金額について、5分の1ずつ5年間にわたって贈与を受けたとみなして、贈与税額を計算するわけです。つまり、贈与税額を5分5乗方式によって計算するのです。
  たとえば、1,100万円の贈与を受けたとすると、まず、贈与を受けた金額を5で割ります。
    1,100万円÷5=220万円
 次に、220万円に対する贈与税を計算します。
    (220万円-110万円)×10%=11万円
 その税額を5倍します。
    11万円×5=55万円
  つまり、基礎控除の110万円を5年分、先取りして使ってしまうわけです。ですから、この特例の適用を受けた年から先4年間は、贈与税の対象となる財産の贈与を受けると、住宅取得資金の贈与を受けた金額の5分の1をその年の贈与を受けた金額にプラスして贈与税額を計算しなくてはならないため、通常の贈与税より高くなります。
  ちなみに、1,100万円の贈与を受けたときの普通の贈与税額は、305万5千円ですから、それがこの特例の適用を受けると55万円で済むことになります。贈与を受けた金額が550万円以下ならば、贈与税はかかりません。
  この特例も、確定申告が要件ですから、マイホームを建てて、親から資金援助を受けているならば、贈与税の申告が必要です。マイホームを建てると、税務署からお尋ねがくることがあります。そんなときも慌てずに、親からもらったものはもらった旨、記載して税務署に提出して、贈与税の申告をしたほうが気分もスッキリ。あれこれ悩まずにすみます。
  もし、資金援助してもらった金額が1,500万円を超えるならば、1,500万円は贈与してもらい、残りは借りる、という手もあります。ただし、借りたお金は親子といえどもキチンと返済しないとダメです。借りっぱなしでは贈与とみなされますから、月々いくらと決めた返済額を、親の口座に入金するなど、実際に返済している事実を証明できるように残しておきましょう。

  住宅取得資金の贈与の特例を受けるためには、一定の要件があります。
  1. 贈与を受ける年の所得が、1,200万円以下であること(給与所得者であれば、給与収入が14,421,052円以下ならばOKです)
  2. 床面積の2分の1以上が居住用であること
  3. 取得する住宅が新築または一定の中古住宅で、床面積が50㎡以上であること
  4. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、取得して居住の用に供するまたは遅滞なく居住の用に供する見込みであること
  5. 父母または祖父母からの贈与であること
  6. 現金の贈与であること(現物ではダメです)
  7. 過去にこの特例の適用を受けていないこと
  8. この贈与を受けた日の前5年間に、本人や配偶者所有の住宅に住んだことがないこと
  9. 一定の増改築の対価にあてるために受ける金銭の贈与であること(一定の増改築とは、その増改築の工事費用が1,000万円以上であるもの又はその増改築による床面積の増加が50㎡以上のもの)
  10. 納税が生じなくても確定申告が必要です
という、たくさんの要件があります。
  買い換えのための資金の贈与の場合(上記の8.の用件を満たさない場合)には、5年以内に居住していた住宅(配偶者の所有していた住宅でも可)を贈与の日の翌年12月31日までに売却する場合に限って、買い換え住宅の取得または新築するための資金の贈与について、この特例の適用があります。

  また、確定申告の際に添付する書類がたくさんあります。
  1. 「住宅取得資金の贈与の特例にかかる贈与税額の計算明細書」(国税庁のホームページから入手できます)
  2. 贈与を受けた年の所得金額がわかる書類(源泉徴収表や確定申告書など)
  3. 戸籍謄本または抄本および戸籍の附票の写し
  4. 取得した家屋の登記簿謄本または抄本
  5. 住民票の写し
といった書類が必要になります。
そのほかにも、必要書類がありますが、増改築の場合、買い換えの場合、はじめての住宅取得の場合、それぞれで必要書類が違いますから、申告する際には、よく確認して漏れのないようにしましょう。

■相続時精算課税制度
 上記の特例のほかに、「住宅取得資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例」という制度があります。
  その内容は、以下のとおりです。
  平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間に住宅取得等資金の贈与があった場合には、以下の要件を満たしている場合、相続時精算課税制度の適用を受けることができます。
  この場合の贈与税の特別控除額は、相続時精算課税の2,500万円に、1,000万円の住宅資金特別控除額をプラスし、合計で3,500万円を控除することができます。
  控除額をオーバーして贈与を受けた場合には、そのオーバーした金額について20%の税率で課税されます。そして、その課税された贈与税は、贈与者の死亡による相続税の申告の際に精算されます。
  1. 適用要件
    特定受贈者が、贈与者(贈与者がその年1月1日において65歳未満でも適用があります)から贈与により住宅取得資金を取得し、翌年3月15日までにその全額を住宅の新築、取得、増改築等の対価に充てて家屋を取得等し、3月15日までにその住宅を居住の用に供したとき、又は同日後遅滞なく居住の用に供することが確実であると認められるとき
  2. 特定受贈者とは
    住宅取得等資金の贈与をした者の直系卑属である推定相続人で、住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の1月1日において20歳以上の者(無制限納税義務者又は国外無制限納税義務者に該当する人に限ります)
  3. 手続き
    この特例の適用を受けるためには、贈与税の確定申告書にこの特例の適用を受ける旨を記載するとともに、相続時精算課税選択届出書、住民票の写し、家屋の登記簿謄本等の一定の書類を添付しなければなりません。また、申告書は期限内に提出しなければ適用がありません。
   
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