朝倉令子税理士事務所
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税金コラム
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【平成17年4月29日「相続税の計算方法」】
■相続税の計算方法
 相続税の計算方法には、遺産税方式と遺産取得税方式とがあります。
  遺産税方式・・・・・・被相続人の遺産に対して課税する方式
  遺産取得税方式・・・・遺産を取得した者の取得財産を範囲として課税する方式
 日本の相続税の課税方式は遺産取得税方式をとっています。つまり、財産を相続した側を単位として課税する方式です。
 相続税額を計算するには、まず、被相続人の財産がいくらあるかを評価します。土地だったら、路線価方式や倍率方式といった評価のしかたがありますし、建物は、固定資産税評価額に倍率(1.0倍)をかけた金額が評価額となります。賃貸している場合には、土地や建物の評価が下がります。その他被相続人が所有している財産を全部評価します(相続税の申告をするのに一番大変な作業がこの財産の評価です。)。現金や預金も、もれなく相続財産に入れなくてはなりません。家族名義の定期預金でも、名義が被相続人でないからといって相続財産に入れないで申告すると、あとで痛い目にあう場合があります。家族の名義で定期預金を作ったときに、贈与税の申告をしているのならOKですが、そうでない場合や、通帳の名義だけ家族で、ハンコは被相続人が普段銀行印として使っていたものだったりすれば、完全にその定期預金は被相続人の財産です。
 こうやって評価した財産の合計から、死亡保険金や死亡退職金の非課税額、葬式費用、債務を引いた金額を計算します。そこから、基礎控除を引いて、課税遺産額を計算します。そして、この課税遺産額を法定相続人が法定相続分で取得したものとして相続人各人の取得金額を算出して、相続税の税率(10%から50%の範囲)をかけます。こうやって計算された相続税の合計額(「相続税の総額」といいます)を、相続によって財産を取得した人が、取得割合によって按分して、納税額を計算します。ただし、相続人以外の人が財産を取得すると、税額の2割が加算されます。養子縁組をした孫も2割加算されます。
 計算された相続税額から控除されるものには、配偶者控除、贈与税額控除、未成年者控除、相次相続控除、障害者控除があります。このうち、配偶者控除というのは、相続税の申告書の提出期限まで(相続の開始があったことを知った日から10ヶ月以内)に遺産の分割がされていることが前提になりますが、1億6,000万円まで控除額があり、配偶者の相続財産がそれ以下なら相続税がかかりません。また、たとえ1億6,000万円以上相続したとしても、法定相続分以下ならやはり、相続税はかかりません。非常に優遇されていますが、この制度が設けられた理由には、
   1被相続人の死亡後の配偶者の生活の保障
   2被相続人の財産といえども、夫婦の協力によって蓄積されたものであること
   3配偶者の取得財産については、次の相続開始の時期が比較的早いこと
などがあります。この適用が受けられる配偶者は、内縁ではダメで、戸籍上の配偶者に限られます。入籍して1日で配偶者が死亡しても、配偶者控除の適用が受けられます。ただし、相続税の申告期限までに遺産の分割が確定していなければ、適用が受けられません。



■会社に財産を遺贈したら
 被相続人が会社を経営していて、その会社に財産を遺贈するという遺言があった場合、財産をもらった会社、遺贈した被相続人にはどんな税金がかかるのでしょうか。
 まず、財産をもらった会社にかかる税金は法人税です。財産をもらった受贈益に対して課税されます。ただし、その法人が赤字の場合には、赤字の範囲内では課税されません。繰越欠損金がある場合にも、その損失と相殺されますが、財産をもらった事業年度が黒字の場合には、同族会社の場合留保金課税が課税される可能性はあります。
 いっぽう、財産を遺贈した被相続人は、会社に財産を時価で売ったものとみなされ、所得税が課税されます。遺贈した財産が土地や建物の場合には、譲渡所得が課せられるわけです。通常の場合ですと所得税の申告は3月15日が提出期限ですが、この死亡した人の所得税の確定申告は、相続が開始した日の翌日から4ヶ月以内に、相続人が申告して納税しなくてはなりません(準確定申告といいます)。そして、相続人が納付した被相続人の所得税や住民税は、相続税の申告の際、債務として控除できます。
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