朝倉令子税理士事務所
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税金コラム
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【平成17年4月22日「生死不明の場合や同時死亡の場合」】
■生死不明の場合や同時死亡の場合
 相続は、人の死亡によって開始します。また、「相続人は、相続開始のときから被相続人の財産に属したいっさいの権利義務を承継する」と民法に規定されています。つまり、相続は、被相続人が死亡した瞬間に相続人に引き継がれるのです。
 では、被相続人が生死不明の状態が長く続いているような場合にはどうなるのでしょうか。配偶者が別の人と再婚したいと思っても、被相続人が生死不明のままではそれもできません。保険に加入していても、保険金を受け取ることもできません。このような場合には、配偶者や相続人は、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることができます。その申し立てが認められれば、被相続人は死亡したものとみなされ、相続が開始します。
 失踪には、普通失踪(蒸発などで音信不通の場合など)と特別失踪(山や海で遭難した場合や、飛行機事故で死体が発見できないような場合)があり、普通失踪は7年、特別失踪は1年、生死不明の状態が続くと、死亡したものとみなされます。
 もし、失踪宣告を受けた人が、帰ってきた場合には、もちろん、失踪宣告はなかったものとされ、相続した財産ももとに戻します。受け取ってしまった生命保険金は、残っている分だけ返せばいいことになっています。

 交通事故や飛行機事故などで両親が同時に死亡してしまった場合には、どのように相続人を特定するのでしょうか。
 もし、死亡時刻がわずかでも違う場合、たとえば夫が先に死亡して、続いて妻が死亡したような場合には、夫の財産をいったん妻と子供が相続し、そのあと妻の財産を子供が相続することになります。しかし、どちらが先に死亡したかはっきりしない場合には、同時に死亡したものとみなされ、子供が相続人となります。子供も両親と同時に死亡した場合には、夫と妻の両親がそれぞれの財産を相続することになります。

■遺留分とは?
 たとえば、被相続人に愛人がいたとしましょう。愛人はあくまでも愛人、戸籍上の妻でないと相続人にはなれませんが、被相続人は遺言書に、その愛人に全財産を譲る、と遺して他界してしまいました。これでは本妻やその子供はやり切れません。財産を一切相続できなくなってしまいます。ところが、こういう場合には、遺留分というものがあり、妻と子供、父母は法定相続分の半分(ですから、このケースでは、妻は法定相続分2分の1の半分で4分の1、その子供たちも子供たち全員で法定相続分2分の1の半分で4分の1)だけは、保証されます。兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
 蛇足ですが、この場合、もし、被相続人と愛人の間に子供がいて、被相続人がその子供を認知していた場合には、その認知された子供は非嫡出子として、嫡出子の相続分の2分の1を相続することができます。このように本妻や子供の知らないところで、被相続人が愛人との間の子供を認知していた、ということもありうるので、相続人を特定する作業としては、被相続人の戸籍謄本を15歳のときからさかのぼって取り寄せます。なぜなら、15歳になったら、子供を作る能力があると考えられるからです。
 話はそれましたが、遺留分は、黙っていても保証されるわけではありませんので、遺言が遺留分を侵害しているとわかったら、妻や子供は、愛人に対して「いりゅうぶん遺留分のげんさい減殺せいきゅう請求」をしなくてはなりません。減殺の請求は、愛人に請求の意思表示をするだけでいいのですが、相手が請求に応じない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
 減殺の請求は、相続開始から1年以内にしないと、権利が消滅してしまいます。
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