■生命保険給付金・損害保険金を受け取ったときの税金
交通事故でケガをして、医療保険金や入院給付金を受け取った場合や、身体の傷害に対して支払われる傷害給付金、高度障害保険金などを受け取った場合は、その原因がケガでも、病気でも、非課税です。自分で自分に保険をかけ、ケガをして保険金を受け取る場合はもちろんですが、ほかの人が保険を受け取る場合でも、配偶者や生計を一にする親族などの場合には税金はかかりません。
また、サラリーマンではなく自分で仕事をしている人が、自分がケガや病気で仕事ができなくなったときの所得を補償するための保険(所得補償保険)に入っていて、その保険金を受け取った場合も、非課税です。ただし、その所得補償保険の保険料は、必要経費にはできません。
火事で建物が焼けてしまったとか、災害で損失を受けたといった場合に受け取る火災保険金などは、課税されません。ただし、保険金の対象となる資産が、自分で事業をしている人の販売用の商品や建物や備品の場合には、受け取った保険金はその事業の収入として、所得税や住民税が課税されます。この場合、支払う保険料は、その事業の必要経費となります。
火災保険でも、満期返戻金がある契約の場合には、その満期返戻金は一時所得として、所得税と住民税がかかります。
(受け取った満期返戻金-支払った保険料-50万円)×1/2
を給与や事業などの他の所得と合算して申告します。
■個人年金を受け取ったときの税金
個人年金を受け取ったときの税金は、保険料負担者と受取人が誰かで、課税される税金の種類か違います。
☆保険料負担者と受取人が同じ場合
この場合には、雑所得として所得税と住民税が課税されます。課税される金額は、おおよそ、その年に支払いを受ける年金額から、今までに支払った掛け金の総額のうち、その受け取った年金に対応する金額を控除した金額です。通常は、保険会社から証明書が来ますので、自分の所得金額がわかります。ここで、気をつけなくてはいけないのは、年金だけの所得の人が、誰かの扶養親族になれるかどうかの判定です。たとえば、母親が息子の扶養親族に該当するかどうか(息子の所得税を計算する際に、母親が扶養控除の対象となるかどうか)の判定は、所得税では、所得金額が38万円以下かどうかで判定します。ですから、母親が受け取っている年金の証明書が38万円を超える場合には、息子の扶養親族にはなれません。公的年金等ですと、65歳以上の人ならば、最低120万円の控除額がありますから、150万円くらいの年金を受け取っても、扶養親族に該当します。でも、個人年金の場合、控除が意外と少ない場合がありますから、年金をいくつも受け取っているような場合には、扶養家族に該当しない場合がよくあります。間違って扶養家族として申告してしまうと、あとで、税務署や市役所から呼び出しがありますから、個人年金を受け取っている場合には、この点に注意しましょう。
☆保険料負担者と受取人が違う場合
たとえば、保険料負担者が夫で、年金の受取人が妻、というような場合には、年金を受け取り始めるときに、妻に贈与税がかかります。何に対して贈与税がかかるかといいますと、年金受給権といって、
(1)有期のものの場合、残存期間に受けるべき年金総額×割合(年金額の15倍が限度
|
|
5年以下のもの |
70% |
5年を超え10年以下のもの
|
60% |
10年を超え15年以下のもの
|
50% |
15年を超え25年以下のもの
|
40% |
25年を超え35年以下のもの |
30% |
35年を超えるもの |
20% |
(2)終身年金の場合、年間に受け取るべき年金額×倍数(年金額の15倍が限度)
|
|
25歳以下の者
|
11倍 |
25歳を超え40歳以下の者
|
8倍 |
40歳を超え50歳以下の者
|
6倍 |
50歳を超え60歳以下の者
|
4倍 |
60歳を超え70歳以下の者 |
2倍 |
70歳を超える場合 |
1倍 |
で計算した金額が贈与税の対象となります。
さらに、毎年受け取る年金には、妻に対して所得税と住民税がかかります。
|