朝倉令子税理士事務所
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税金コラム
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【平成17年1月28日「事業所得者の消費税の申告」】

■消費税の申告はどうなるの?

 自分で事業をしている人は、消費税も納めなくてはなりません。消費税の申告は、1月1日から12月31日までの分を翌年3月31日までに申告・納税するので、申告と納税は所得税より半月あとです。また、前々年の課税売上高が1,000万円以下の人は、消費税が免除されます。ただし、平成16年3月31日以前に開始する課税期間については、納税義務が免除されるのは前々年の課税売上高が3,000万円以下の人となっています。個人事業者の場合の納税義務が免除される範囲は以下の通りです。
☆納税義務が免除される範囲

基準期間
基準期間の課税売上高
平成16年分
平成14年分
3,000万円以下
平成17年分
平成15年分
1,000万円以下
平成18年分
平成16年分
1,000万円以下

 課税期間というのは、法人の場合には、事業年度ですが、個人事業者の場合には、1月1日から12月31日となります。消費税の納税義務者になるかどうかは、前々年の課税売上高で判定しますので、新規開業して2年間は、前々年の課税売上高がありませんから、消費税を納めることはありません。
  課税売上高というのは、所得税の売上高とは少し違いがあります。消費税がかかっている取引のことをいい、物を売るとかサービスの提供といった普通の商売は、消費税がかかっている取引です。その他、事業用の車を下取りに出した場合の下取り価格にも、消費税がかかっていますので、課税売上高になります。逆に、消費税がかからない取引には、たとえば、土地の売却、社会保険診療報酬、地代、預金の利息、借入金の利息、保険料などがあげられます。
  消費税の申告は、1月1日から12月31日までにもらった消費税から払った消費税を差し引いた残りを税務署に納めます。と簡単にいっても、実際に、計算するとなると大変です。一つ一つの取引を、これは消費税がかかっている、これはかかっていない、と区別しなくてはいけません。そこで、もらったほうだけ計算すれば、払ったほうの消費税は、もらった消費税の何%、という計算でOKですよ、という方法があります。「簡易課税」といって、業種によってその%が決められていて、課税売上高の90%から50%を払った消費税として申告します。これを「みなし仕入率」といいます。
☆事業の種別とみなし仕入率

事業の種別
みなし仕入率
事業の内容
第1種事業
90%
卸売業
第2種事業
80%
小売業
第3種事業
70%
農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業および水道業など。ただし、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業を除く
第4種事業
60%
第1種・第2種・第3種事業および第5種事業以外の自称で、具体的には、飲食店、金融、保険業、その他、第3種事業から除かれる加工業等
第5種事業
50%
不動産業、運輸・通信業、サービス業(飲食店は除く)などで、第1種から第3種事業以外の事業

 この簡易課税は、前々年の課税売上高が5,000万円以下でないと選択できません。ただし、平成16年3月31日以前に開始する課税期間については、簡易課税が選択できるのは、前々年の課税売上高が2億円以下の人となっています。また、来年から選択したいといった場合には、今年の12月31日までに「簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出しないとダメです。そして、一度届け出ると2年間は簡易課税を取りやめることができません。ですから、設備投資を2年以内に予定しているような場合には、簡易課税を選択してしまったのでは、消費税の還付が受けられなくなってしまいますので、届出書の提出には事業計画等を十分に検討して届出書を提出することが必要です。
  個人事業者の場合の簡易課税が選択できる範囲は以下の通りです。

基準期間
基準期間の課税売上高
平成16年分
平成14年分
2億円以下
平成17年分
平成15年分
5,000万円以下
平成18年分
平成16年分
5,000万円以下

 課税売上高が1,000万円以下の人は、消費税の納税は必要ありませんが、いったん1,000万円を超えると、2年後には消費税を納めなくてはなりません。しかも、その金額は以外に大きくて、滞納が多いのが実情です。税金の滞納は、差し押さえ、という事態にもなりますから、納税しなくてはならなくなったら、その分を見越して徐々に納税資金を用意していくのが無難です。

 

 





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